参考書VS問題集

 参考書と問題集、この二つは受験生活をする上での二大重要アイテムです。当ページのタイトルでは、なにやら対決風にしていますが、実際には両方をバランスよく使うことが大事です。

 このページでは、その「バランス」について、時期を考慮に入れつつ考えてみたいと思います。

1.参考書、問題集それぞれの利点、欠点

 「バランス」について考える前に、参考書、問題集それぞれについて利点と欠点を挙げてみます。これから書く利点・欠点は、その学習に全面的に依存した場合のものです。つまり、受験で参考書しか使わなかった場合、問題集しか使わなかった場合、ということです。

1-1.参考書について

 参考書とは、ある科目について体系的・網羅的に記述がある本です。事項について細かい説明があります。基本書もこの範疇に入るでしょう。ただ、参考書は受験を意識した内容、基本書は受験を特には意識していない内容、という違いがあります。

利点

 参考書の利点は解説が詳しいことにつきます。当たり前のことといえばそうですが、体系的・網羅的な内容は頭に入りやすく、「勉強した」という満足感は大きいです。事項単独で覚えて、ぶつ切りの知識を詰め込んでいくよりも、前後の文脈の中で事項が理解できた方が頭に残ります。

 ということは、当然のことながら、読んでもわからない参考書は、何の意味もないということになります。まぁ、「意味がわからない」の内容が「今わからない」のか、「根本的に説明が下手」なのかということで使い方は変わりますが。とにかく、今まったくわからないものは、今やらなくてもよいでしょう。

欠点

 一方、参考書の、参考書で学んでいくことの欠点は「学問」の領域に近づきがちであるということです。

 基本的に「学問」の領域には終わりがありません。参考書での学習では、「少しずつ理解を積み重ねている」という心地よい実感があります。しかし、そのまま参考書で学習していくと、とめどなく細かい事項を覚えていってしまう(覚えたくなる)ワナにはまってしまうことになります。学問的に1事項を奥深く追求していっては、覚えることが雪ダルマ式に増えていき、「受験勉強」としては効率の悪いものになりかねません。

 これと同じことですが、ある事項がわからなかった場合、その根本を理解しようとして勉強し、その根本もわからず、どんどん深いところから理解しようとすることもあります。分かっていないのに、分からないゆえに深く入ってしまう例です。勉強内容によっては、「そういうものだ」と、ある程度割り切ることも必要なのですが、そう考えずに「理解しきる!」と意気込むと、泥沼にはまってしまうことになりかねません。

 また、「学問」の領域に近いことに関連しますが、勉強に明確な区切りをつけづらいということも欠点として挙げられます。

 筆者が思うに、受験生活というのは「受験生活」という1つの流れの中で、複数個の「勉強のまとまり」が積み重なっていくものです。複数個というのは科目が多いということではなくて、各科目で「基礎理解の時期」「演習の時期」「弱点克服の時期」「直前対策の時期」と段階としてのまとまりがあることです。

 そうして、各段階で区切り、ひとまとめの勉強を終えることによって、自分の勉強の反省が可能になります。「『基礎』の時期だったのに、ちゃんと基礎事項が理解でなかったなぁ」という具合です。そうすれば、例えば基礎学習がきちんとできなかったと考えた時に、他の方法を試すことができます。「基礎」としての一定の固まりの学習を「し終える」ことによって、「振り返って」基礎学習の総括ができるわけです。一区切り終えなければ、振り返ることはできません。

 そういった点で、区切りのつけづらい学習は、勉強方法の修正を難しくします。「学問」をするのならともかく、「受験」を考えるにあたっては、区切りのつけづらさは欠点といえます。

 ただ、参考書を1冊決めて、「これを〜までにやる」と、参考書に期限を決めてやる分には有効です。参考書学習がひとつのまとまりになり、区切りがつくからです。それを、「複数参考書を参照しながら、総合的に学んでいく」という姿勢にすると、区切りがつかなくなります。

参考書のまとめ

 さんざん悪口を言ったようにも見えますが、それは「参考書に全面的に依存する」という前提でということです。

 さて、上記の利点、欠点は表裏の関係にあります。基礎からじわじわと積み重ねることによる学習は、つながりが意識でき、頭に入りやすいです。その際、細かい所、根本的な所も用いると理解が深まります。しかし、細かい所、根本的な所は奥が深く、膨大な作業になりかねない…そういうことです。

 例えば歴史を学習するとして、教科書を理解するためには、そのまま覚えていくよりもNHK「その時歴史は動いた」的な裏側事情を知っていると頭に入るでしょう。しかし、それに味をしめて、さらなる裏方事情を知り尽くしてから歴史を学ぼうとすると、大変なわけです。

 ただ、これらの参考書至上学習の利点は、問題集学習と上手くあわせることで効果がでます。


1-2.問題集について

 問題集とは、問題とその解説が載っているものです。名前が「問題集」だからといって、解説の載っていないのは(多分)ありません。問題の種類は、要点整理問題(確認問題)、過去問、予想問題などの種類があります。過去問に関しては、公開されていない試験もあり、復元問題が主です。国1、国2、特別区などでは2002年より公開されています。(解答は各HP上で公開)

利点

 問題集の利点は、試験に出る形で勉強できることです。各単元で問題として出る可能性の高い所、問題として出しやすいもの程、多く勉強できます。

 公務員試験はその範囲が膨大です。ただでさえ科目数が多いのに、「憲法」「政治学」「経済学」など、それぞれの領域も広大です。こんなものを1から10まで全部理解するのは無理です。そんな中、問題集はよく出るものがピックアップされているので、効率的に勉強することができます。

 特に、試験種別に過去問にあたっておけば、さらに効率的に学習することができます。問題集によっては、国1、国2、地上などでどれが頻出問題かという記述があり、覚えることをしぼることができます。例えば、政治学の場合、国1では国2・地上ではまず出ない細かい各国情勢・日本政治史などが頻出です。

 また、参考書学習との比較で言えば、勉強に区切りがつけやすい点も利点として挙げられます。問題集は解く問題数が決まっています。その範囲内の勉強をしていけば、その範囲のことは一通り学べることになり、またその問題集に関しては「満足」できるでしょう。

 問題集の問題数はたかが知れています。どんなに時間をかけても2ヶ月以上かかるものはありません。

欠点

 さて次に問題点ですが、問題集学習の欠点は、ある程度の予備知識がないと、ひどくつらい作業になることです。また、それに加え、予備知識不足によって、知識をぶつ切りのまま大量に詰め込む作業になってしまいがちなことです。ぶつ切りの大量の知識は忘れやすいものです。

 上記は、ある程度問題集の解説の詳しさによりますが、全体的な傾向としてあるものです。確かに解説の詳しいものでは、ぶつ切りになっても理解できます。しかし予備知識がない状態で勉強すると、時間がかかり、「あとどれくらい覚えなければならないんだろう…」という不安に駆られることがあります。

 また、「ぶつ切り」という事に関して言えば、先ほど参考書の記述でも書きましたが、体系の中で学んだ方が理解がはかどり、記憶にも残りやすいです。自分が今勉強している事項が、「〜学」の中でどの位置付けにあるのかを理解しながらやるのと、そうでないのでは、理解のしやすさに大きな違いがあります。

 一方、問題集に時間をかけすぎることもよくありません。問題集の利点で「区切りのつけやすさ」を挙げました。それは1冊の問題集での勉強時間がたかが知れているからです。それを、問題集1冊を完璧に理解しようとして、一通り学習するのに大量の時間をかけていては、それは利点を潰すことになります。なお「かけすぎ」というのは、例えば半年で1冊の問題集を終えるような状態です。時間が非常に沢山ある人にはいいかもしれませんが(筆者としてはオススメしませんが)、問題集は複数回やってなんぼのものです。

問題集のまとめ

 問題集による勉強は、受験生活中盤以降はひたすらオススメしたい勉強方法です。しかし「中盤以降は」ということが非常に大事です。

 欠点の所にも書きましたが、問題集は予備知識があったほうが圧倒的にはかどります。まぁ、勉強初期では解説の詳しい問題集がなによりですが、勉強も後期になってくると、ある程度雑な問題集でも使えるようになります。それは基礎事項・基本事項が分かった者同士の「ツー・カー」(携帯電話ではないです、念のため)のようなもので、多くを語らなくても分かるからです。それでもやはり詳しい方がいいですが。

 さて、本文では「予備知識」という語を、なんの断りもなく使ったので、それについて少し。

 「予備知識」とは、それこそ勉強の本質までいかないものです。例えば算数で言えば「『1+1=2』になるんだ。そういうもんだ。『+』の前と後ろの数を合わせた数が、『=』の後ろにくるんだ。」と、いうような理解です。これで大概の足し算は解けるようになるでしょう。この程度の知識で十分です。「〜学」についての全体像を理解し、これら「初等的」な知識を得れば、予備知識は十分です。「なぜ『1+1=2』になるんだ?そもそも『1』とはなんだ?」とかの「根本的」理解は、ここではいりません。それこそ「学問」の領域です。

 時期を踏まえて問題集をこなしていくことが大事です。

1-3.参考書・問題集のまとめ

 以上から考えていえることは、勉強初期から終盤まで、どちらか一方のみを用いて勉強することはよくないということです。どちらにも利点と欠点があって、どちらか一方でいいというもんではありません。

 問題集の利点は沢山あります。終盤では問題演習が十分な力を発揮します。ただ、初期で予備知識がない状態ではつらく効率の悪い作業になりかねません。

 参考書は受験生活全体としてメインの位置ははることはありません。どうやったって範囲が膨大になりがちです。学問の領域に入ってしまう危険もあります。しかし、体系的な理解をするには十分な効果があります。

 つまり、参考書、問題集は相互補完的なもの、ということです。使い時期とか、使用法が少々ことなるだけです。

 その辺のことを良く考えて用いれば、これらは十分にその力を発揮することでしょう。


2.時期ごとのバランス

 参考書、問題集のそれぞれについて十分に考えてみた所で、では実際、学習の各時期においてどれくらいの比率で使った方がいいのかということについて、少し考えてみたいと思います。

 なお、比率としてみてみますが、これらは参考書、問題集に大いに依存するので、以下は参考程度の気分で読んでみてください。

2-1.学習最初期

 公務員試験に向けて学習を始めたばかりの段階です。

 この時期は、各科目についての全体像がつかむことがまず第1です。まずは、薄い参考書で、その科目の全体像をつかむのがよいでしょう。いきなり分厚い本を買ってきて「さぁやるぞ!」と意気込むと、空回りしがちです。薄い参考書で「だいたいこんなもんかな。」という理解を目指しましょう。

 その際には、理解をしているかどうか、問題をやってみるのもいいでしょう。本当に簡単そうな問題だけ選んでやる、という方法もあります。筆者の個人的意見では、経済の場合、初等的基礎が十分に解説された問題集(例えば『スーパー過去問ゼミ』)をいきなりやってしまうのもアリかとは思います。

 と、いうことでこの時期は

 参考書 : 問題集  =  7 : 3

くらいでしょうか。

2-2.問題演習初期

 最初の問題演習、つまり1冊めの問題集の1回目の時です。

 ここから本格的に問題にあたっていくことになります。その際には、今までうろ覚えだった参考書の知識をちょっと強化します。この時期の問題演習は1問1問やっていくのがよいでしょう。そして、1問ごとに参考書に戻って理解しなおします。

 しかし、学習にはリズムとスピードが大事なので、この1回目の問題演習を大事に行き過ぎないようにした方がいいと思います

 と、いうことでこの時期は

 参考書 : 問題集  =  4 : 6

といった所でしょうか。

2-3.問題演習中期

 2回目の問題演習の時期です。

 2回目の問題演習では、1回目にやったことが理解できているか、覚えているか、ということがテーマになります。ここで全く覚えてないような場合、1回目の知識が定着していなかったか、1回目から大きな時間が開きすぎたかのいずれかでしょう。振り返って考えてみる必要があります。

 もうすでに1回問題集を終えているのですから、参考書に戻る際も、問題によって強弱がつきます。うろ覚えから、ちゃんと記憶まで2段階で上っていくのではなく「うろ覚えB→うろ覚えA→記憶」と少しずつ覚えていくのであまり焦ってはいけません。

 と、いうことでこの時期は

 参考書 : 問題集  =  3 : 7

くらいになると思います。

2-4.模試の時期

 模試を迎えます。

 模試では成果が出る場合と出ない場合が、当然わかれます。模試は受けておいた方がいいです。本番でエラーをしないために練習するのであり、練習でエラーを恐がっていては始まりません。

 模試が、今まで自分の使っていた問題集と違う会社の場合、新たな視点での解説が得られることがあります。これまで問題集・参考書をやってきて、どうしても理解できなかったものが、違う観点から見ることで分かることがあります。

 受けた問題全てを同時並行的に復習する必要はありませんが、復習はしておきましょう。

 この時期は、模試だけの時期ではなく、問題演習中期の一部と考えてください。

2-5.模試の復習(、問題集浮気)の時期

 1冊の問題集を複数回やって、どうしても理解できない問題というのがでてきます。

 そのことは、やったはずの問題が模試で出来なかったときに明らかになります。模試の解説が詳しければ、そこで新しい見解を得ることができます。

 そして、その段階で新しい問題集に手を出すのもアリだと思います。1冊の問題集を複数回やることは必要です。ただ、ある問題集が、すべての問題において自分に分かりやすい解説を提供しているとは限らないです。理解しやすい所の解説は自分の身になっていきますが、何度やっても理解できず、何回も見ることになる解説は、丸暗記の材料こそ提供してくれるものの、本当に身につく知識は与えてくれません。ある程度数をこなすと、答えと解説を覚えてしまうこともあります。しかし、場合によっては、少しひねられた問題で全く対応できない、そんな状態にもなりかねません。

 そんな「浮気相手」の問題集ですから、つまみ食い的に学習することもアリです。

 なお、人間社会において「浮気相手」をいいように使っていいという意味ではありません。浮気相手も大事にしましょう。でも本命もそれ以上に大事にしましょう。また、根本的に筆者は人間社会における浮気を奨励するものではありません。あしからず。

 そうして、新しい見識を得ながら、参考書をもう一度読んでみると、新しい発見があるかもしれません。

 と、いうことでこの時期は

 参考書 : 問題集  =  4 : 6

です。

2-6.弱点克服の時期(期間は短い)

 模試も終わって本試験が近づいてくると、苦手なものを減らすべく、弱点の克服を図ります。

 この時期までに、問題演習は相当の数に上っているはずです。1冊の問題集を複数回やって、また他の問題(問題集・模試)にも手を出しています。ここまでに、体系的な知識と細切れの知識が沢山ついていることと思います。そして、この時期には後者の細切れの知識を強化するべく、参考書をもう一度読んでみます。

 もはやだいぶ勉強も進み、参考書も強弱をつけて読むことが出来るようになっていると思います。それはどこが大事がわかるようになるので、ある程度単語が「浮かんで見える」ような状態になっていることを指します。ここで、参考書をさらっと読んで置くことで、細切れの知識の体系化が図れることがあります。

 なので、この時期は

 参考書 : 問題集  =  8 : 2

ぐらいにしておくのがよいと思います。

  2-7.問題演習後期(含模試復習)の時期

 いよいよ試験日が近づいてくる頃です。この頃になると、最後の演習をやります。

 この期に及んで、新しい事項を頭に入れるのは、あまり懸命ではありません。入れるのは最新時事だけです。とはいってもあまり最新過ぎるのは試験にでません。

 演習、演習、演習を繰り返します。参考書は、図表でまとめられた数値表のようなもの、紛らわしいものを、一気に参照するのに使えます(憲法の、国会の解散についてなど)。  なので、この時期は

 参考書 : 問題集  =  2 : 8

ぐらいにしておくのがよいと思います。



 繰り返しになりますが、上記は筆者の体験に拠っています。予備校のある方など、いろいろなパターンがあると思うので、よく考えてみてください。

 
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