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面接について思うこと―――適宜追加連載
1.どこからが「個性」か 面接では自分の個性を発揮して行くことが大事だとすると、個性とは一体なんでしょうか。面接の対策をする際に、いわゆる面接必勝本を買って対策を立てる人は多いと思います。そこにはいわゆる「個性の出し方」だとか、「面接官はこういうところを見ている」といった記述が見られ、なかなか参考になります。このうち、「個性の出し方」「自分の個性とは」といった項目を見ることによってどこまで対策は可能になるのでしょうか。 よく考えてみてください。もし個性というものが、その人に特有の、何もしなくてもにじみ出るような性質のものならば、日々の行動すべてが個性です。さて、そうなると面接対策本を読む自分というものも個性ということになります。その中にはどんな意味がこめられているのかと考えると、自分の個性の中に「マニュアル人間」性質が読み取れるということでしょう。 つまり、面接本を読んでいる時点で、面接で一番忌み嫌われる「マニュアル人間」という自分の性質を出してしまっているのです。 別な言い方をすると、個性の出し方すらもマニュアル化されてしまっているということです。 さて、ここからが運命の分かれ道です。先に面接本を読んでいる時点でマニュアル人間だと書きました。しかし、そこから、マニュアル人間で終わってしまうのか、その先の個性を発揮する段階にいけるのかが分かれます。どういうことかというと、面接本を読んで何となくその通りにして終わりにしてしまうのが本当のマニュアル人間、面接本を咀嚼して、その先にある自分独自の考えに到達できるのが個性だということです。 2.前職を辞めたことについて 職歴のある人なら必ずといっていいほど「なぜ前職を辞めたのですか」という質問が来ます。このような質問に対しては、普通「説得力のある言葉で、前向きな解答をしろ」といわれています。しかし、果たして、いつもそのような返し方をしていいのでしょうか。人が1人辞めるというのは、辞める当人にとってはともかく、会社には迷惑が掛かります。もっとも、リストラの最中や、その人があまりにも仕事しない(できない)為に早く辞めてもらいたいと思われている場合は別です。そのことを踏まえて、自分が人事担当者の立場だったらと考えてみてください。 「会社はいい所だったんですが、自分の夢を実現したくて」などという言葉、言ってる本人にとっては耳障りの良い言葉ですが、迷惑をかけられる方にしてみれば自分の都合ばかり考えた言葉で、会社に迷惑をかける理由には聞こえないのではないでしょうか。 いかなる場合も、会社を辞める行為自体は迷惑以外の何者でもありません。そのことをわきまえた発言の仕方というものがあるような気がします。 3.読めなきゃ字じゃない 昔塾でアルバイトをしている時に、字の汚い子供にこう言いました。「いい?字は相手に伝えるためにあるんだ。君はそれを読めるというが、人に伝わらなかったらもうそれは字じゃないよ。」 そして、それから数年後の今年、官庁訪問で同じことを面接官から言われました。 「君の言っていることは難しくて、何を言ってるのかわからないよ。」 言われれば自分は面接に際して熟語をたくさん使って(といっても四字熟語とかではなく)いました。伝えたいことが山ほどあって、なおかつそれを短い文にまとめようとした結果、文が難しくなっていたと思います。それが面接官には非常にわかりづらかったのです。 面接はコミュニケーションとプレゼンテーションの場です。しかし、両方に共通しているのは「相手に分かりやすく伝える」ということです。受験生の側としては、何とか短い時間で大量の情報を相手に伝えたいと考えます。しかし、それが相手を無視したものになってはいけません。 4.面接はCMのようなもの? 面接はCMのようなものなんじゃないかと、最近では思います。CMにはいろんな種類のものがあります。とにかく商品説明を述べるもの、一言も発しないもの、グラフィカルに攻めるもの、シンプルに文字だけで表現するもの…などなど、数限りありません。テレビCM、ラジオCMでも違いがあります。 そして、それぞれの形式のCMには、それぞれのよさがあります。「〜が一番」といった王道的ものはありません。手段と、それを作る人の組み合わせで、一番いいものが決まります。また、人によって好き嫌いというのもあります。 例えば、筆者はゴチャゴチャ説明の多いCMよりは、黙って「あれっ?これ何のCM」といった感じでありながら、インパクトのあるものが好きです。商品そのものというより、企業のウィットなイメージを視聴者に与えることで、企業のイメージとしてスマートさを見せ、「なんかカッコイイ」と思わせるような手法です。 自分の面接のスタイルを決める際、「どうやって自己アピールしようか」という観点でなく、「自分がどんなCMが好きか」「どんなアピール手段が自分が好きか」といったことを考えてみるのも面白いと思います。 5.ワンパターンの種類 面接では、「多くの人が使い古した言葉を使う」という意味でのワンパターンは嫌われます。「社交性」や「責任感」、「サークルで多くの人をまとめて…」、「バイトでお客様のニーズを把握し…」などがそれにあたるでしょう。その手の話を、面接官は何度も聞いているでしょうから、印象に残りません。さて、そうなると、皆がその手の話題をさけて、面接の解答を作り上げます。よく面接本では「結論を先に言う」「具体例を豊富に入れる」「話を一本に絞る」などと書かれており、その通りに解答を練ったりします。 しかし、ここに、1つの落とし穴があるような気がします。それは、「発言自体のワンパターン化」を避けるために面接方法を研究したが、今度は「発言フォーム」がワンパターン化してしまったという事態です。 「人とは違う面接にしよう」と考え、「自分らしさをアピールしよう」と決める、と考えるのは、間違いではないと思います。ただ、それがいつのまにか「何か具体例を入れなくては」という強迫観念を持つなど、「手段」を「目的」にするようになったら危険です。 集団面接でこんなことがありました。確か「自己PRを言ってください」という質問だったと思います。 ある人が、自己PRを言う際に「結論」を最初に、「体験」を後に続けて述べていました。具体的内容は避けますが、筆者はその発言の背後に「ワンパターン避けの自己目的化」を感じずにはいられませんでした。 というのも、その人の発言に非常に違和感を感じたからです。そこで思ったのは「『結論→具体例』という形に縛られすぎて、思った通りに発言できていないようだ」ということでした。 結論と具体例が自分独自のものであったとしても、「結論→具体例」という「発言フォーム」が完全に自分のものになっていないと、そこに「マニュアル依存」という性質を感じてしまいます。そうなると面接官は、発言の一語一句は独自でも、最初にいった「社交性」「責任感」といった単語と同じく、その受験者の発言を「ワンパターン」として処理してしまうような気がします。 このように、ワンパターンには、2つの種類があります。1つは「発言自体」がワンパターンである場合。もう1つは「発言フォーム」がワンパターンである場合です。 面接について悩んでしまっている場合には、この視点から自分の面接を見てみるのもよいと思います。 |